リスキリングの助成金で中小企業が経費の75%を受けられるのは、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースを使う場合です。
同じ研修でも、中小企業と中小企業以外では助成率が変わります。
本記事では、75%という助成率の根拠、助成金における中小企業の判定基準、対象となる訓練の条件、そして申請時の注意点までを、厚生労働省の資料に沿って2026年6月時点で整理します。
▶︎ リスキリング支援の特設ページ
▶︎ 助成金でいくらもらえるかはこちら
- 75%は事業展開等リスキリング支援コースの経費助成率である
- 中小企業以外の助成率は60%にとどまる
- 中小企業かは資本金か労働者数で判定する
- 75%を受けるには訓練の要件を満たす必要がある
- TKwriteworksの無料相談で、自社が対象になるかがわかる
\ 今月残り1社対応可能! /
リスキリングの助成金で中小企業が経費の75%を受けられる理由

まず、なぜ75%という数字が出てくるのかを確かめておきましょう。
この助成率は、人材開発支援助成金のなかの特定のコースに定められたものです。
そして同じコースでも、中小企業かどうかで助成率に差が設けられています。
75%は事業展開等リスキリング支援コースの助成率
中小企業が経費の75%を受けられるのは、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースを利用する場合です。
このコースは、新規事業の立ち上げやDX*・GX*化など、事業展開にともなって新たに必要となる知識や技能を従業員に習得させる訓練を対象としています。
その訓練にかかった経費の一部が助成されます。
厚生労働省の資料では、このコースの経費助成率は中小企業で75%と定められています。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
つまり「リスキリングで75%」という表現は、このコースを指していることが多いのです。
*DX:Digital Transformationの略。デジタル技術による事業や組織の変革。
*GX:Green Transformationの略。脱炭素社会に向けた経済・社会の変革。
中小企業以外との助成率の違い
同じコースでも、助成率は企業規模で変わります。
厚生労働省の資料によれば、経費助成率は中小企業で75%、中小企業以外で60%と定められています。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
その差は決して小さくありません。
同じ研修費を支払っても、中小企業のほうが経費助成として戻る割合が大きい計算になります。
この差があるからこそ、自社が中小企業に該当するかどうかの判定が重要になります。
助成金における中小企業の判定基準

75%の助成率を受けられるかは、自社が助成金上の中小企業に該当するかで決まります。
この判定には、厚生労働省が定める明確な基準があります。
本章では、判定の考え方と業種ごとの基準を整理しましょう。
資本金か労働者数のいずれかで判定する
厚生労働省の資料では、資本金の額または出資の総額と、企業全体で常時雇用する労働者の数のいずれかが基準を満たせば中小企業とされています。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
両方を満たす必要はありません。
どちらか一方の基準に当てはまれば、中小企業事業主として扱われます。
判定の時点は支給申請の時点とされており、また個人や一般社団法人など資本金を持たない事業主は、労働者数のほうで判断します。
基準となる金額や人数は、営む事業の種類によって変わるものです。
業種ごとの基準
具体的な基準は、主たる事業の業種ごとに定められています。
業種の区分は、総務省の日本標準産業分類にもとづいて判断されます。
厚生労働省の資料に示された基準は、次のとおりです。
| 主たる事業 | 資本金または出資の総額 | 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
製造業や建設業などは、その他の業種にあたります。
たとえば製造業であれば、資本金3億円以下、または労働者300人以下のいずれかを満たせば中小企業として扱われます。
自社の業種区分に迷う場合は、申請先の労働局に確認すると確実です。
*常時雇用する労働者:2か月を超えて使用される者などで、週の所定労働時間が通常の労働者と概ね同等である者。
\ 今月残り1社対応可能! /
75%の経費助成を受けられる訓練の条件
中小企業に該当しても、どんな研修でも75%の対象になるわけではありません。
助成を受けるには、訓練そのものが要件を満たしている必要があります。
本章では、対象となる訓練の主な条件を確認します。
OFF-JTで10時間以上であること
まず、訓練の形式と時間に条件があります。
対象となるのは、通常の業務を離れて行うOFF-JT*の訓練です。
業務をこなしながらのOJTは含まれません。
さらに厚生労働省の資料では、実訓練時間が10時間以上であることが要件とされています。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
短時間のセミナーや単発の講習だけでは、時間の条件を満たさない場合があります。
研修を組む段階で、合計時間を確認しておくことが欠かせません。
三つの分野のいずれかに該当すること
次に、訓練の内容にも条件があります。
このコースでは、訓練が新たな分野で必要となる知識や技能の習得に向けたものである必要があります。
対象になる分野は限定されています。
厚生労働省の資料では、新規事業の立ち上げなどの事業展開にともなう訓練、DX・GX化に関連する訓練、そして人材育成の計画にもとづく訓練という枠組みが示されています。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
つまり、既存業務の習熟や趣味的な内容の研修は、このコースの対象になりにくいということです。
対象となる講座の詳しい範囲は、リスキリング助成金の対象講座の記事でも整理しています。
*OFF-JT:Off the Job Trainingの略。通常の業務を離れて行う研修や講習などの訓練。
経費助成とあわせて受けられる賃金助成
このコースで助成されるのは、訓練の経費だけではありません。
訓練を受けている間の賃金に対しても、助成が用意されています。
二つを合わせて捉えると、中小企業の負担はさらに軽くなります。
訓練中の賃金にも助成がつく
経費助成と並ぶもうひとつの柱が、賃金助成です。
従業員が訓練を受けている時間は、通常の業務から離れています。
その時間の賃金の一部が助成されます。
厚生労働省の資料では、このコースの賃金助成は中小企業で1人1時間あたり1,000円、中小企業以外で500円と定められています。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
賃金助成にも対象となる時間に上限が設けられており、限度を超えた分は助成の対象になりません。
経費助成と賃金助成を合算した結果や具体的な計算例は、助成金でいくらもらえるかの記事で詳しく整理しています。
経費助成の限度額
経費助成は75%という割合だけで決まるわけではありません。
訓練の時間に応じた限度額が、もう一方の上限として働きます。
本章では、その限度額の考え方を確認します。
訓練時間に応じた経費助成の上限
経費助成には、1人あたりの限度額があります。
この限度額は、訓練の実施時間によって段階的に変わります。
厚生労働省の資料に示された中小企業の経費助成の限度額は、次のとおりです。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
| 訓練時間(1人あたり) | 経費助成の限度額(中小企業) |
|---|---|
| 10時間以上100時間未満 | 30万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 40万円 |
| 200時間以上 | 50万円 |
実際の経費助成は、支払った経費の75%と、この限度額のいずれか低いほうが上限になります。
限度額を超えた分は、助成の対象になりません。
研修費が高額になるほど、割合よりも限度額が効いてくる点に注意が必要です。
1事業所あたりの上限と回数
限度額は、1人あたりの枠だけではありません。
事業所単位での上限も設けられています。
厚生労働省の資料では、1事業所が1年度に受けられる助成額には上限があり、また1人の労働者が受けられる回数にも制限があります。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
大人数を一度に研修へ送り出す場合は、この事業所単位の上限も視野に入れる必要があります。
年度をまたいで計画を立てると、上限を踏まえた運用がしやすくなります。
自社の研修計画に当てはめた見通しは、専門家に相談しながら立てると安心です。
中小企業が申請する際の注意点
75%という助成率は魅力的ですが、受給にはいくつかの前提があります。
手続きの順序と、制度の期限です。
あらかじめ押さえておくと、見込み違いを防げます。
計画届の事前提出が前提になる
とりわけ注意したいのが、申請の順序です。
このコースでは、訓練を始める前に訓練実施計画届を労働局へ提出することが前提になっています。
訓練を始めてからでは間に合いません。
計画届の提出には訓練開始日からさかのぼった提出期限が定められており、この期限を過ぎると助成の対象外になります。
研修の日程が決まったら、まず計画届の準備に取りかかることが大切です。
申請の流れ全体は、人材開発支援助成金の申請方法の記事で順を追って解説しています。
時限措置である点を踏まえる
もうひとつ意識したいのが、制度の期限です。
事業展開等リスキリング支援コースは、期間を区切って設けられた時限的な措置です。
恒久的な制度ではありません。
厚生労働省の資料では、このコースは令和8年度末までの時限措置と位置づけられています。(出典:厚生労働省 事業展開等リスキリング支援コースのご案内)
また、要件を満たしていても審査があり、申請すれば必ず受け取れるとは限りません。
活用を検討するなら、要件と期限の両方を早めに確認しておくとよいでしょう。
リスキリングの助成金と中小企業についてよくある質問
最後に、中小企業の助成率についてよく寄せられる疑問にお答えします。
判定や対象範囲など、迷いやすい点を取り上げます。
Q1. 自社が中小企業に当てはまるかどうかは何で決まりますか?
資本金の額か、常時雇用する労働者の数のいずれかで判定します。
業種ごとに基準が異なり、たとえばサービス業なら資本金5,000万円以下、または労働者100人以下のいずれかを満たせば中小企業として扱われます。
両方を満たす必要はなく、どちらか一方で判定される点がポイントです。
Q2. 中小企業以外でも助成は受けられますか?
受けられます。
このコースは中小企業以外も対象で、大企業の場合は経費助成率は60%、賃金助成は1人1時間あたり500円と定められています。
中小企業の75%と比べると割合は下がりますが、訓練の要件を満たせば助成の対象になります。
Q3. 75%はどんな研修でも受けられますか?
すべての研修が対象になるわけではありません。
10時間以上のOFF-JTであることや、新たな分野の知識・技能を習得する訓練であることなど、コースごとの要件を満たす必要があります。
研修を選ぶ段階で、対象になる訓練かどうかを確認しておくと安心です。
まとめ
リスキリングの助成金で中小企業が経費の75%を受けられるのは、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースを利用する場合です。
同じコースでも中小企業以外の経費助成率は60%で、企業規模によって差が設けられています。
中小企業に該当するかは、資本金または労働者数のいずれかで判定され、基準は業種ごとに異なります。
ただし、75%を受けるには訓練の要件を満たし、計画届を事前に提出する必要があり、制度は令和8年度末までの時限措置です。
要件と期限を早めに確認し、自社の研修計画に落とし込むことが活用への近道になります。
リスキリングに向けた研修設計や助成金の活用を検討されている場合は、TKwriteworksの無料相談もご利用いただけます。
\ 今月残り1社対応可能! /
出典・参考情報
