DXにおける中小企業の課題とは、人材の不足や予算の制約、経営層の理解不足などが重なり、取り組みが思うように進まない状態を指します。
本記事で取り上げるのは、政府調査のデータから見える、中小企業がDXでつまずく主な課題です。
そのうえで、課題を乗り越えるための現実的なステップまで解説します。
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- DXが進まない主な4つの課題がわかる
- 課題の背景にある構造的な要因がわかる
- 課題を乗り越える解決ステップが描ける
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データで見る中小企業のDXの現状

中小企業のDX*は、ここ数年で着実に広がっています。
一方で、取り組みが成果に結びついている企業はまだ多くありません。
まずは、政府調査の数字から現状を確認します。
DXに取り組む中小企業は4割を超えた
中小企業のDXは、特別な取り組みではなくなりつつあります。
数字がそれを示しています。
中小機構の2024年の調査では、DXに取り組む、または検討中の中小企業は42.0%にのぼりました。
これは前回調査からおよそ10ポイント増えた水準です。
中小企業白書では、デジタル化に未着手の企業が2023年の30.8%から2024年には12.5%へと急減しました。
およそ9割の企業が、何らかのデジタル化に着手した計算になります。
多くの中小企業が、すでにデジタル化に踏み出している段階にあるといえるでしょう。
「着手」は進み「成果」は道半ば
着手が進む一方で、課題も見えてきました。
取り組みが成果につながっていない企業が多いのです。
IPAの「DX動向2025」によれば、日本企業のDX取組率は約8割に達しています。
しかし成果が出ていると答えた企業は6割弱にとどまり、米国やドイツの8割以上に水をあけられています。
始めることと、成果を出すことの間には大きな隔たりがあります。
この隔たりを生む要因こそが、本記事で整理する課題です。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| DXに取組・検討中の中小企業 | 42.0% | 中小機構2024 |
| DX推進人材が不足する企業 | 85.1% | IPA DX動向2025 |
| 100人以下企業のDX取組率 | 46.8% | IPA DX動向2025 |
*DX:Digital Transformationの略。デジタル技術による事業や組織の変革。
なぜ中小企業のDXは進みにくい?

課題を一つずつ見る前に、その背景を押さえておきましょう。
中小企業ならではの事情が、DXを進みにくくしています。
大きく分けて、投資余力の差と課題の複合性という2つの背景があります。
大企業との投資余力の差
中小企業は、大企業に比べてデジタルへの投資余力が限られています。
数字にも差が表れています。
中小企業のソフトウェア投資は設備投資の約7%にとどまり、大企業の約13%のおよそ半分です。
限られた原資の中で、何を優先するかの判断が難しくなります。
日々の業務に追われ、専任の担当者を置く余裕がない企業も多くあります。
人手も時間も足りない中で、新しい取り組みに踏み出す負担は小さくありません。
課題は1つではなく複合的
中小企業のDXの課題は、ひとつだけ取り出して語れるものではありません。
複数の課題が、互いに絡み合っています。
人材が足りないから進まず、進まないから効果が見えず、効果が見えないから予算もつかないという循環に陥りがちです。
課題を一つずつほどいていく視点が、停滞から抜け出す出発点になります。
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課題1:DXを担う人材の不足
多くの調査で、最大の課題として挙がるのが人材の不足です。
道具をそろえても、使いこなす人がいなければ前に進みません。
人材不足の実態と、その打ち手を見ていきます。
IT人材もDX人材も足りていない
人材不足は、中小企業に共通する悩みです。
足りないのは、専門人材だけではありません。
中小機構の調査では、IT人材の不足が28.1%、DX人材の不足が27.2%と、人材に関する課題が上位を占めました。
IPAの調査でも、日本企業の85.1%がDX推進人材の不足を感じています。
この水準は、米国やドイツと比べても著しく高いものです。
人材の不足は、日本の企業全体に共通する構造的な課題だといえます。
外部からの採用も簡単ではなく、人材の確保は多くの企業にとって難題となっています。
採用より育成という選択肢
人材不足への打ち手は、採用だけではありません。
もう一つの現実的な道が、社内人材の育成です。
自社の業務を知る社員にデジタルのスキルを身につけてもらう、リスキリングという考え方が広がっています。
即戦力を探すより、いまいる社員を育てるほうが現実的な場合は少なくありません。
業務を理解した社員がデジタルを学ぶと、現場に合った形で活用が進みやすくなります。
育てた人材は社内に定着しやすく、長期的な戦力になりやすい利点もあります。
採用と育成を組み合わせ、自社に合うバランスを探ることが現実的でしょう。
課題2:予算と投資の制約
人材と並んで多いのが、予算をめぐる課題です。
限られた原資をどう配分するかは、経営の重い判断です。
制約の実態と、その中での進め方を考えます。
限られた投資余力という現実
予算の確保は、中小企業のDXにつきまとう課題です。
調査でも上位に挙がっています。
中小機構の調査では、予算の確保が難しいという課題が24.9%を占めました。
効果が読みにくい投資ほど、限られた予算の中では後回しになりがちです。
大きな投資を一度に決めるのは、容易ではありません。
だからこそ、投資の規模を抑えながら効果を確かめる進め方が求められます。
小さく始めて広げる考え方
予算の制約は、工夫で和らげられます。
鍵は、最初から大きく構えないことです。
身近な業務を一つ選び、小さく試して効果を確かめてから広げる進め方なら、投資の負担も小さく抑えられるでしょう。
小さな成功を積み上げることが、次の投資を後押しする根拠になります。
人材育成には、公的な支援制度を活用できる場合もあります。
制度には所定の要件があるため、対象となるかを事前に確認しておくとよいでしょう。
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課題3:経営層の理解とメリットの見えにくさ
3つ目の課題は、経営層の理解にかかわるものです。
DXは、現場だけで進められる取り組みではありません。
メリットの見えにくさと、経営層の関与の重要性を見ます。
メリットが見えにくいという壁
取り組めない理由として、メリットの不明確さがよく挙がります。
効果が想像しにくいのです。
IPAの調査では、中小企業の課題として「DXのメリットがわからない」「情報や知識が不足している」が目立ちました。
何が得られるのかが見えなければ、投資にも人の配置にも踏み切れません。
まずは身近な業務改善から始め、効果を実感することが理解への近道です。
小さな成功事例は、経営層に効果を説明する材料としても役立ちます。
経営層の関与が成否を分ける
DXの成否は、経営層の関与に大きく左右されます。
現場任せでは、部門をまたぐ変革は進みにくいからです。
何のためにDXに取り組むのかという方針を、経営層が示すことが出発点です。
経営層が旗を振るかどうかが、取り組みの本気度を左右します。
方針が共有されれば、現場も迷わず動けるようになります。
課題4:何から始めればよいかわからない
4つ目は、着手そのものをためらわせる課題です。
やる気はあっても、入り口でつまずく企業は少なくありません。
このハードルの正体と、最初の一歩の決め方を考えます。
着手のハードルは規模で変わる
「何から始めてよいかわからない」という声は、根強く残っています。
この悩みは、企業の規模によって濃淡があります。
調査では全体の約2割がこの悩みを抱え、従業員20人以下の企業では3割近くにのぼりました。
小規模な企業ほど、相談先や情報が身近にないことが背景にあります。
身近に相談できる相手がいるかどうかが、最初の一歩を左右します。
規模に応じて、つまずく場所も変わってくるのです。
| 企業規模 | 主につまずく点 | 有効な一歩 |
|---|---|---|
| 小規模(20人以下) | 何から始めるかが不明確 | 身近な業務の効率化から |
| 中規模(100人以下) | 人材と予算の確保 | 育成と段階的な投資 |
最初の一歩の決め方
最初の一歩は、大きな改革である必要はありません。
むしろ、小さく確実な業務改善から入るのが現実的です。
毎日繰り返している事務作業のうち、手間のかかるものを一つ選ぶところから始めるとよいでしょう。
完璧な計画を待つより、小さく試して学ぶほうが前に進みます。
一つの成功体験が、次の取り組みへの自信につながります。
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中小企業の課題を乗り越える解決ステップ
ここまで見た4つの課題は、順を追って乗り越えられます。
大切なのは、一度にすべてを解決しようとしないことです。
次の4ステップが、停滞から抜け出す道筋になります。
- 経営層が取り組みの目的と方針を示す
- 身近で効果の見えやすい業務を1つ選ぶ
- 社内人材の育成で進める力を確保する
- 小さな成果を確かめ、対象を段階的に広げる
この4ステップは、人材と予算と経営の関与という課題に同時に効いてきます。
特に人材の育成は、人手不足と予算の両方に効く投資です。
外部のツールやサービスは、契約が終われば社内に何も残りません。
一方で育成した人材の知見は、取り組みが一段落しても社内に残り続けます。
次の業務改善や新しいツールの導入にも、その経験がそのまま活きてくるでしょう。
だからこそ、最初の一歩を社内人材とともに踏み出す意味は小さくありません。
弊社では、こうした最初の一歩を業務の棚卸しと人材育成の両面から支援しています。
自社に合う進め方を相談したい場合は、TKwriteworksの資料をご活用ください。
中小企業のDXの課題についてよくある質問
中小企業のDXを検討する際に、よく寄せられる質問をまとめます。
Q1. 小さな会社でもDXに取り組む意味はありますか?
あります。
大規模なシステム導入だけがDXではありません。身近な事務作業をデジタルで効率化するだけでも、人手不足の緩和という確かな効果が生まれます。規模が小さいほど、一人あたりの負担軽減は大きく感じられます。
Q2. 人材がいない場合はどう進めればよいですか?
社内人材の育成から始めるのが現実的です。
専門人材の採用は競争が激しく、簡単ではありません。自社の業務を理解した社員にデジタルのスキルを身につけてもらうほうが、現場に合った活用につながります。
Q3. 予算が限られていても始められますか?
始められます。
小さな業務から試せば、初期の負担を抑えられます。人材育成については、公的な支援制度を活用できる場合もあります。対象となるかどうかは、所定の要件を事前に確認するとよいでしょう。
Q4. 成果が出るまでにどれくらいかかりますか?
取り組む業務の範囲によって変わります。
事務作業の効率化のように身近な改善であれば、数か月で手応えを感じられることもあります。焦らず小さな成果を積み重ねる姿勢が、結果的に取り組みを長続きさせます。
まとめ
中小企業のDXの課題は、人材、予算、経営層の理解、着手の難しさという4つに整理できます。
これらは互いに絡み合っており、一つずつほどいていく視点が欠かせません。
調査でも、着手する企業は増える一方で、成果の実感までたどり着いた企業はまだ多くないという実態が示されています。
小さく始め、社内人材を育てながら成果を積み上げることが、停滞を抜け出す近道です。
まずは身近な一つの業務から、最初の一歩を踏み出してみましょう。
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出典・参考情報
