AI研修の導入を検討する際、費用負担をどう抑えるかは多くの企業に共通する悩みです。
結論から言えば、AI研修には国の助成金を活用できる制度があります。
ここでは、AI研修に使える助成金の種類、申請から支給までの流れ、そして実務でつまずきやすい点までを、法人の担当者向けに整理します。
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▶︎ リスキリングに使える助成金の種類
- AI研修に使える助成金制度の種類がわかる
- 助成率と助成額の目安を厚労省基準で把握できる
- 申請から支給までの流れが5段階でわかる
- 申請でつまずく原因と回避策がわかる
- TKwriteworksの無料相談で、自社の申請可否がわかる
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AI研修に助成金は使える?

AI研修にかかる費用は、要件を満たせば国の助成金で一部をまかなえます。
ここでは、まず使えるかどうかという出発点と、なぜAIの研修が助成の対象になり得るのかを確認します。
使える制度がある
AI研修に活用できる代表的な制度が、厚生労働省の人材開発支援助成金*です。
これは、従業員の職業能力開発に取り組む事業主を支援する助成制度として設けられています。
制度の中にはいくつかのコースがあり、AIのような新しい分野の学び直しには、事業展開等リスキリング支援コースが向いています。
対象は、雇用保険の適用事業所であることが前提です。
つまり、自社の社員にAIを学ばせる研修は、要件を満たせば助成の対象になり得るのです。
AI研修が対象になる理由
では、なぜAIの研修が助成の対象になるのでしょうか。
事業展開等リスキリング支援コースは、新たな事業や業務に必要な知識・技能の習得を後押しする趣旨で設計されています。
AIの活用は、多くの企業にとって新しく取り組む分野でしょう。
そのため、生成AIの業務活用やデータ分析を学ぶ研修は、コースの趣旨と重なりやすいといえます。
ただし、対象になるかどうかは訓練の内容や時間といった要件で判断されます。
研修テーマがAIであるという理由だけで、自動的に助成が決まるわけではありません。
*人材開発支援助成金:従業員の職業能力開発に取り組む事業主を支援する厚生労働省の助成制度。
AI研修に使える主な助成金

AI研修に使える助成金は、人材開発支援助成金が中心になります。
この章では、制度の枠組みと、その中でAI研修と相性のよいコースの位置づけを整理します。
人材開発支援助成金の枠組み
人材開発支援助成金は、複数のコースで構成された制度です。
コースごとに、対象となる訓練や助成の内容が異なります。
共通しているのは、訓練経費と訓練中の賃金の一部が助成されるという仕組みです。
自社が取り組みたい研修の目的に合わせて、適したコースを選ぶことになります。
制度の全体像は、関連記事の人材開発支援助成金の解説もあわせてご確認ください。
AI研修に向くコース
AI研修と相性がよいのは、事業展開等リスキリング支援コースです。
このコースは、新しい分野の業務に必要な知識・技能を学ぶ訓練を対象にしています。
生成AIの業務活用、データ分析、業務自動化といったテーマは、この趣旨に当てはまりやすい領域です。
助成の手厚さという点でも、経費と賃金の両面が対象になるこのコースは、導入時の費用負担を抑えやすい設計になっています。
そのため本記事では、事業展開等リスキリング支援コースを軸に、要件と流れを見ていきます。
制度の対象は年度ごとに見直される場合があるため、申請前には最新の支給要領を確認する必要があります。
事業展開等リスキリング支援コースの要件
このコースを使うには、訓練の内容や時間に関する要件を満たす必要があります。
ここでは、対象となる訓練、助成率と助成額、対象経費と上限の3点を順に整理します。
対象となる訓練
対象となるのは、業務命令に基づいて行うOFF-JT*の訓練です。
訓練時間については、実訓練時間が10時間以上であることが下限とされています。
受講者の出席にも条件があり、実訓練時間の8割以上を受講している必要があります。
外部の研修機関に委託する形でも、自社で講師を招く形でも対象になり得ます。
大切なのは、訓練の内容が事業展開や新しい業務に結びつくものであることです。
要件の細部は年度の改正で変わることがあるため、計画づくりの前に確かめておくと安心でしょう。
*OFF-JT:Off-the-Job Trainingの略。通常の業務を離れて行う研修や講習などの訓練。
助成率と助成額
このコースでは、訓練経費と訓練中の賃金の一部が助成されます。
厚生労働省の基準では、経費助成率は中小企業75%、中小企業以外60%とされています。
賃金助成は、令和7年度の改正で中小企業向けが引き上げられました。
次の表は、経費助成率と賃金助成額の目安をまとめたものです。
| 区分 | 中小企業 | 中小企業以外 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 75% | 60% |
| 賃金助成(1人1時間) | 1,000円 | 500円 |
これらの率や額は、企業区分や年度の改正によって変わる前提で読む必要があります。
実際の助成額は、訓練の規模や時間に応じて個別に算定されます。
対象経費と上限
助成の対象になる経費は、外部の研修機関へ支払う受講料や、自社に講師を招く場合の謝金などが中心になります。
1人あたりの経費助成には、訓練時間に応じた上限が設けられています。
次の表は、実訓練時間ごとの1人あたり経費助成の上限額です。
| 実訓練時間 | 中小企業 | 中小企業以外 |
|---|---|---|
| 10〜100時間未満 | 30万円 | 20万円 |
| 100〜200時間未満 | 40万円 | 25万円 |
| 200時間以上 | 50万円 | 30万円 |
あわせて、1事業所が1年度に受けられる助成額は1億円が上限とされています。
上限の範囲は大きいものの、対象になる経費の線引きは要領で細かく定められています。
どこまでが対象経費かは、見積もりの段階で確認しておくとよいでしょう。
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申請から支給までの流れ
助成金は、訓練を始める前の手続きから支給までが一連の流れになっています。
大きく分けると、計画の届出、訓練の実施、支給申請という3つの段階に整理できます。
- 訓練計画を作成する
- 労働局へ計画届を提出する
- 計画に沿って訓練を実施する
- 訓練終了後に支給申請する
- 審査を経て助成金が支給される
訓練計画の作成と届出
最初に行うのが、訓練計画の作成と労働局への届出です。
計画届は、訓練開始日の6か月前から1か月前までに管轄の労働局へ提出します。
この届出には、訓練の内容や実施時間、対象となる従業員、訓練にかかる経費の見込みなどを、所定の様式にまとめて記載します。
つまり、研修を始めてからでは手続きが間に合いません。
助成金を使うと決めたら、訓練の中身よりも先に届出の段取りを固めることが重要です。
訓練の実施
計画を届け出たら、その内容に沿って訓練を実施します。
このとき、計画と実際の訓練がずれないように進めることが欠かせません。
受講した時間や出欠は、後の支給申請で確認される記録になります。
出席が実訓練時間の8割に満たない場合、その受講者は助成の対象から外れることがあります。
研修の運営と並行して、記録を正確に残す体制を整えておくと安心でしょう。
支給申請と審査
訓練が終わったら、支給申請の段階へ進みましょう。
支給申請は、訓練終了日の翌日から2か月以内に行う必要があります。
申請には、訓練の実施記録や受講者の出欠、経費の支払いを示す書類など、計画どおりに訓練を行ったことを裏づける資料を添えます。
令和7年度の改正により、詳細な審査はこの支給申請の段階で行われる流れになりました。
審査を経て支給が決まると、助成金が事業主へ振り込まれます。
申請から入金までには一定の期間がかかるため、資金計画には余裕を見ておきましょう。
申請でつまずきやすい点
助成金の申請は、いくつかの決まった箇所でつまずきやすい傾向があります。
ここでは、期限、書類、要件という3つの観点から、よくある落とし穴と回避策を整理します。
計画届の期限
特に多いのが、計画届の期限に間に合わないという失敗です。
計画届は訓練開始日の1か月前までに提出する必要があり、これを過ぎると申請できません。
一日の遅れも認められません。
研修の日程を先に決めてしまい、届出が後手に回るというのがよくあるパターンです。
回避するには、訓練開始日から逆算してスケジュールを組むことが基本になります。
余裕をもって準備期間を確保しておけば、期限切れの不安は小さくなるでしょう。
書類と記録の不備
次に多いのが、提出書類や訓練記録の不備です。
出勤の記録、賃金の台帳、訓練ごとの実施記録といった日々の書類は、訓練を計画どおり行ったことを示す支給申請の根拠になります。
これらに記載のもれや不整合があると、審査で確認に時間がかかるでしょう。
研修の運営担当と労務の担当が別々だと、記録がかみ合わないこともあります。
申請の前に、必要書類を一覧にして点検すると、もれを防ぎやすくなるでしょう。
対象要件の取り違え
見落としやすいのが、訓練が対象要件を満たしているかという確認です。
実訓練時間が下限に届かない研修は、そもそも対象になりません。
内容の面でも、その研修が事業展開や新たな業務とどう結びつくのかを、計画の段階で言葉にして説明できることが求められます。
AIの研修であっても、要件の整理が曖昧なまま進めると、後で対象外と判断されることもあるでしょう。
計画の段階で、要件と自社の研修内容を照らし合わせておくことが回避策になります。
顧問社労士と進める準備
助成金の申請は、顧問社労士の力を借りて進める企業が少なくありません。
ここでは、社労士に任せられる範囲と、自社で用意しておくものを整理します。
社労士に任せられる範囲
社労士には、計画届や支給申請といった手続きの代行を依頼できます。
制度の要件や最新の改正をふまえて、申請の段取りを組んでもらえる点が心強いところです。
書類の作成や労働局とのやり取りを任せられれば、社内の負担は軽くなります。
専門家が関わることで、要件の取り違えや期限の見落としを防ぎやすくなるのも利点です。
顧問契約の範囲によっては、助成金の代行が別料金になる場合もあります。
自社で用意するもの
社労士に任せる場合でも、自社で用意すべきものは残ります。
どんな研修を、どの従業員に、いつ実施するのかという方針は、自社で決める必要があります。
訓練の内容や研修先の選定は、事業の狙いと結びつけて考える部分です。
つまり、手続きは任せても、研修の中身づくりは自社が主役になります。
研修会社と社労士の双方と連携できると、内容と手続きの両面が噛み合いやすくなるでしょう。
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令和8年度の申請を急ぐ理由
助成金の活用を考えるなら、申請の時期は早いほど動きやすくなります。
ここでは、令和8年度(2026年度)に向けて早めに動く理由を整理します。
予算と期限
助成金は、年度ごとの予算や受付期間の中で運用されます。
制度の内容や要件も、年度の改正で見直されることがあります。
そのため、活用したい年度の枠組みを早めに把握しておくことが欠かせません。
計画届には期限があり、訓練開始から逆算した準備期間も必要です。
つまり、使いたい時期の手前から動き始めることが前提になります。
早めに動く利点
早めに動くことには、いくつかの実務上の利点があります。
準備に余裕があれば、要件の確認や書類の整備をていねいに進められるでしょう。
研修先の選定や日程調整にも、無理のないスケジュールを組めます。
反対に、期限ぎりぎりで動くと、要件の見落としや書類の不備が起きやすくなります。
申請の成否を左右するのは、どれだけ前もって段取りできたかという点だといえるでしょう。
自社の研修計画にあわせて、いつから動くべきかを早い段階で見極めておきましょう。
AI研修の助成金活用についてよくある質問
最後に、AI研修の助成金活用について寄せられることの多い質問にお答えします。
Q1. 申請すれば必ず助成金を受けられますか?
申請すれば必ず支給されるわけではありません。
助成金は、訓練の内容や時間、書類の要件などを審査したうえで支給の可否が決まります。
要件を満たし、必要な手続きを正しく踏むことが前提になります。
Q2. 外部に委託するAI研修も対象になりますか?
外部の研修機関に委託する形でも、要件を満たせば対象になり得ます。
大切なのは、訓練の内容や時間がコースの要件に合っているかどうかです。
委託先の選定では、助成金の要件に沿った研修を組めるかを確認するとよいでしょう。
Q3. 申請の手続きは自社だけでできますか?
自社だけで手続きを進めることも可能です。
ただし、計画届や支給申請には期限と所定の様式があり、確認に手間がかかります。
負担を抑えたい場合は、顧問社労士に手続きを依頼する方法もあります。
Q4. どのくらい前から準備すればよいですか?
計画届は訓練開始日の1か月前までに提出する必要があります。
研修内容の検討や書類の準備も含めると、研修先の選定から日程の確定までを見越して、数か月前から動き始めると無理がありません。
使いたい時期が決まっているなら、早めの準備が安心につながります。
Q5. 自社が対象になるか相談できますか?
自社の研修計画が助成の対象になりそうかは、事前に相談できます。
TKwriteworksでは、研修の設計とあわせて助成金活用の進め方までご相談ください。
申請可否の見極めは、TKwriteworksの無料相談でご確認いただけます。
まとめ
AI研修には、人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースを活用できます。
申請は、計画の届出、訓練の実施、支給申請という流れで進みます。
つまずきやすいのは、計画届の期限、書類の不備、対象要件の取り違えといった箇所です。
これらを避けるには、早めに段取りを固め、必要なら社労士と連携することが近道になります。
自社の研修が対象になるかを確かめたい場合は、無料相談からお気軽にご相談ください。
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出典・参考情報
