リスキリングに対する政府の方針とは、働く人の学び直しを後押しし、成長分野への移動を促す国の取り組みです。
これは「新しい資本主義」の柱に位置づけられており、人を育てることへの投資を社会全体で強めていこうという考え方が、その根っこにあります。
この記事では、方針の背景や3つの柱、それを支える制度や企業への影響までを整理して解説します。
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▶︎ 関連記事:人的資本経営とリスキリング
- 政府は人への投資を強める方針
- 柱は学び直し・労働移動・個人支援
- 個人への直接支援を広げる方向
- 企業にも育成への取り組みが求められる
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リスキリングをめぐる政府の方針とは

まず、政府がリスキリングをどう位置づけているのかを確認しましょう。
近年は国を挙げて人への投資を強める姿勢が示され、その流れは企業の人材育成のあり方にも影響を広げています。
その根底にある考え方と、象徴的な支援の枠組みを見ていきます。
「新しい資本主義」と人への投資
政府はリスキリングを、「新しい資本主義」を実現するための重要な柱に位置づけています。
その中心にあるのは、人に投資することで成長と分配の好循環を生み出すという考え方です。
ねらいは、はっきりしています。
働く人がスキルを高めて、より生産性の高い分野へ移れるようにすることで、個人の所得を増やし、ひいては日本経済全体の成長につなげようとしているのです。
これは、人材を「コスト」ではなく「投資」と捉える人的資本経営の流れとも重なります。
働き方や産業の構造が大きく変わるなかで、人の力をどれだけ高められるかが、これからの成長を分ける、というのが政府の見立てです。
関連する考え方は、人的資本経営とリスキリングの記事もあわせてご覧ください。
5年で1兆円の支援
政府の方針を象徴するのが、人への投資に向けた大規模な支援の枠組みです。
2022年には、5年間で1兆円を投じて人への投資を進める方針が示されました。
その規模の大きさは、リスキリングが国の優先課題であることを物語っています。
大切なのは、金額そのものよりも中身です。
この枠組みは、企業向けの助成や個人向けの給付など、さまざまな形で展開されながら、個人の学び直しを社会全体で支える姿勢を表しています。
その後の方針でも、人への投資を強める方向は引き継がれています。
注目したいのは、お金の規模そのものより、それをどう配分し、誰に届けようとしているのかという方向性であり、そこに政府の本気度があらわれます。
政府がリスキリングを進める背景

政府がここまでリスキリングに力を入れるのには、いくつかの事情があります。
社会や経済が大きく変わるなかで、いまある人材を学び直しによって育て直すことが、避けて通れない課題になっているのです。
代表的な2つの背景を確認しておきましょう。
デジタル化と人手不足
大きな背景にあるのは、デジタル化の加速と深刻な人手不足です。
DX*が各業界で進むなかで、デジタル分野のスキルを持つ人材が、必要な数だけ確保できていません。
そのうえ、人口の減少で働き手そのものが減り続けています。
新たに人を採るだけでは追いつかないからこそ、いまいる人材を学び直しによって育てる発想が重要になり、リスキリングがその有力な手立てとして注目されているのです。
政府の方針も、こうした現実の課題に応えるものといえます。
採用で人を増やすことに限界がある以上、いまいる人材の力を引き上げる学び直しは、これからの企業にとって避けて通れないテーマになっていきます。
*DX:Digital Transformationの略。デジタル技術による事業や組織の変革。
国際的な人材投資の流れ
もう一つの背景に、人材への投資を重視する世界的な流れがあります。
多くの国が、変化の時代に対応できる人材を育てる施策に力を入れています。
ここで気になるのが、日本の現状です。
日本では人への投資が他の先進国に比べて少ないと指摘されることがあり、その差を縮めることも、政府が方針を強める理由の一つになっています。
人材の質は、長い目で見れば国の競争力そのものを左右します。
世界の動きを踏まえ、日本でも投資を加速させる必要があるとされているのです。
こうした国内外の事情が重なった結果として、人への投資は一過性のスローガンではなく、腰を据えて取り組むべき国家的な課題として位置づけられています。
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政府の方針を支える3つの柱
政府の方針は、大きく3つの柱で進められています。
これらは別々に動くのではなく、学び、移り、支えるという流れのなかでつながり合い、人への投資を社会のなかで循環させる役割を担っています。
3つの柱を一覧で整理すると、次のとおりです。
| 柱 | 主な狙い |
|---|---|
| 学び直しの支援 | 成長分野で役立つスキルの習得を後押し |
| 円滑な労働移動 | 成長分野への移動をしやすくする |
| 個人への直接支援 | 個人が主体的に学べる仕組みを拡充 |
それぞれの柱が何をめざしているのか、順に見ていきましょう。
学び直し(リスキリング)の支援
1つ目の柱は、働く人が新しいスキルを身につける学び直しの支援です。
とりわけ、デジタルや成長分野のスキル習得が重視されています。
その手段は、一つではありません。
企業が行う研修への助成や、個人が講座を受けるための給付など、複数の仕組みを通じて、誰もがスキルを高められる環境を整えようとしています。
これが、政府の方針のなかでも中心となる取り組みといえるでしょう。
学ぶ意欲のある人が、必要なときに、無理なく学べる環境をつくること、それ自体が成長の土台になると考えられています。
円滑な労働移動
2つ目の柱は、成長分野への円滑な労働移動を促すことです。
せっかく学んでも、その力を活かせる場がなければ意味がありません。
そこで、学び直しと労働移動を結びつけ、身につけたスキルを活かせる仕事へ移りやすくする狙いがあります。
人材が必要とされる分野へ動くことは、経済全体の生産性向上にもつながります。
ただし、移動はあくまで本人の希望を尊重しながら進めることが前提です。
鍵となるのは、学びと移動のつながりでしょう。
こうした循環を社会のなかに生み出すことで、働く人の選択肢を広げ、経済の活力につなげようとしているのです。
個人への直接支援の拡充
3つ目の柱は、個人が主体的に学べるよう、直接支援を拡充することです。
これまで企業を経由していた支援を、個人が直接受け取れる形へ広げる方向が示されています。
ねらいは、働く人の主体性です。
個人が自分の意思で学ぶ分野やタイミングを選べるようにすることで、企業任せにせず、一人ひとりがキャリアを描ける環境をつくろうとしています。
企業と個人の両面から支えることで、学び直しの裾野を広げる狙いです。
個人が学びの主体になれば、自分のキャリアを自分で描けるようになり、その積み重ねが、働く人一人ひとりの可能性を押し広げていきます。
政府の方針を支える主な制度
政府の方針は、具体的な制度を通じて形になっています。
企業や個人が実際に使える制度を知っておくと、抽象的に見えがちな方針の中身が、ぐっと身近に感じられます。
代表的な制度を、2つの観点から確認しましょう。
企業向けの助成制度
企業向けの代表が、厚生労働省の人材開発支援助成金です。
従業員に研修を行う企業を、経費や賃金の面から支える仕組みで、研修の目的に応じて複数のコースから選べます。
新しい分野への事業展開に伴う訓練を支援するコースもあります。
政府の方針を、企業の人材育成の現場で形にするための制度といえるでしょう。
研修の目的や対象に応じて使うコースを選べるため、自社の事業や課題に合わせて、無理のない形で人材育成を進められます。
制度の種類は、リスキリング助成金の種類を解説した記事で確認できます。
個人向けの支援制度
個人向けには、主体的な学び直しを支える制度が用意されています。
代表的なのが、厚生労働大臣の指定した講座を受けた個人に費用の一部を支給する、教育訓練給付制度です。
これだけではありません。
デジタル分野の学びとキャリア相談を結ぶ支援など、個人が一歩を踏み出しやすくする取り組みも、方針に沿って少しずつ広げられています。
企業の制度と個人の制度を組み合わせれば、学びの選択肢はさらに広がるでしょう。
どんな制度があるのかを知っておくことは、遠い話に聞こえがちな政府の方針を、自分ごととして引き寄せる第一歩になります。
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政府の方針が企業に与える影響
政府の方針は、企業の人材育成にも影響を与えます。
方針の流れを理解しておくと、追い風を自社の取り組みに活かしやすくなります。
企業に求められることと、制度の活かし方を見ていきましょう。
企業に求められること
企業には、従業員の学び直しを後押しする役割が一層求められています。
人材を投資の対象と捉え、計画的に育てる姿勢が問われます。
理由は、シンプルです。
従業員のスキルを高めることは、そのまま企業の競争力に直結し、個人の主体的な学びを職場として支える環境づくりが、これからの成長を左右するからです。
政府の方針は、こうした企業の取り組みを後押しする追い風といえるでしょう。
その追い風を活かせるかどうかは、結局のところ、育成を後回しにせず計画的に動けるかという企業側の姿勢にかかっています。
制度を活かすには
方針を自社に活かすには、用意された制度を上手に使うことが近道です。
たとえば人材開発支援助成金を使えば、費用を抑えながら計画的に研修を進められます。
ポイントは、制度ありきで考えないことです。
自社の事業や課題に合わせて使う制度を選び、個人向けの制度ともあわせて活用すれば、学びの幅をさらに広げられます。
まずは、自社に必要なスキルから考えてみましょう。
進め方に迷う場合は、TKwriteworksの無料相談で整理することもできます。
リスキリングの政府方針についてよくある質問
最後に、リスキリングの政府方針についてよく寄せられる質問に回答します。
方針を理解するうえで気になりやすい点を、押さえておきましょう。
Q1. 政府の方針はいつから始まったのですか?
人への投資を強める方針は、2022年に大きく打ち出されました。
「新しい資本主義」の議論のなかでリスキリング支援が重点に位置づけられ、その後の方針にも引き継がれています。
単発の施策ではなく、中長期で続く取り組みと捉えておくとよいでしょう。
毎年の予算や制度の見直しのなかで、内容は少しずつ更新されています。
Q2. 中小企業も政府の支援を使えますか?
はい、要件を満たせば中小企業でも人材開発支援助成金などを活用できます。
中小企業向けに支援が手厚く設計された制度もあり、規模にかかわらず人材育成に取り組む企業を後押しする姿勢が示されています。
自社が対象かは、制度ごとの要件を確認するとよいでしょう。
Q3. 個人でも支援を受けられますか?
受けられます。
働く個人は、指定された講座を受けることで費用の一部の支給を受けられる教育訓練給付制度などを通じて、学び直しの支援を受けられます。
政府は、こうした個人への直接支援を広げる方向を示しています。
まとめ
政府はリスキリングを「新しい資本主義」の柱と位置づけ、人への投資を強めています。
その背景には、デジタル化や人手不足、そして人材投資を重視する世界的な流れがあり、方針は学び直し・労働移動・個人への直接支援という3つの柱で進められています。
企業には、制度を活かしながら従業員の育成に取り組む姿勢が求められます。
方針の流れを理解し、自社に合う形で取り入れていくことが大切でしょう。
自社での進め方に迷ったら、TKwriteworksの無料相談で整理することもできます。
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